不動産取得税は地方税ですので、納税先は国ではなく都道府県です。
お家を購入されたり会社の事務所を新しくされたりすると、自治体から勝手に(笑)納税通知書が送られてきます。
『不動産取得税』という名前から大枠はある程度イメージがわくはずですが、その詳細まではわからないよという方が多いのではないかと思いますので、まとめてみました。
対象資産
不動産取得税は以下のものに対して課税されます。
土地及び建物
不動産取得税は、土地や建物の取得に際して課税されます。
新築、中古を問いません。
登記の有無も問いません。
特に注意されたい点としては、お家を改築し建物の価値が増加した場合には、その改築も取得とみなされます。
非課税
以下の場合には課税されません。
1.相続、または法人の合併等による取得
2.宗教法人、社会福祉法人等一定の法人の本来の用に供されるための取得
3.その他一定の取得
税額の計算方法
以下の通りになります。
不動産取得税の税額=課税標準×税率
課税標準
課税標準とは、税額の計算を行うにあたり、税率を乗じて税額を求めるための基礎となる金額のことをいいます。
原則
固定資産課税台帳に登録されている価格によります(=固定資産税評価額)。
軽減措置
◇宅地等の場合
宅地または宅地に準じた土地の場合(平成18年1月1日~令和3年3月31日までの間に取得されたものに限る)、課税標準額は評価額の1/2とされます。
◇新築住宅等の場合
住宅を新築した場合、評価額から1,200万円(認定長期優良住宅の場合1,300万円)が控除されます。
ただし以下の要件を満たす必要があります。
・床面積:50㎡~240㎡
・居住用のものであること
・新耐震基準に適合していること
また、上記の要件を満たす住宅が建つ土地を取得した場合には、最低45,000円の税額控除があります。
◇手続き
これらの軽減措置を受けるためには原則として申告が必要です。
申告期限内(取得後60日)に『不動産取得税課税標準の特例適用申告書』を都道府県の税事務所に提出しましょう。
ただし、実際は税事務所の方で自主的に判断し処理されているケースがほとんどのようです。また期限後申告もある程度は認めてくれるようなので、もし申告を忘れてしまった場合には送られてくる納税通知書できちんと軽減措置の処理がされているか確認しましょう。
免税点
課税標準となる金額が以下の金額に満たない場合、課税されません。
土地:10万円
家屋
新築・増築等の場合:23万円
売買等の場合:12万円
税率
原則
4%
軽減措置
平成18年4月1日~令和3年3月31日までの間:3%
ケーススタディ
土地(150㎡)評価額:1,500万円
建物(120㎡/認定長期優良住宅)評価額:2,000万円
土地
1.1,500万円×1/2×3%=225,000
2.住宅用地の軽減措置(税額控除)を適用します。いずれか大きいほうをとります。
①45,000円
②1,500万円÷150㎡×1/2×200㎡(※)×3%=30万円 ∴30万円
※地積の2倍(200㎡限度)
3.225,000<300,000 ∴0円
建物
(2,000万円-1,300万円)×3%=21万円
軽減措置がなかった場合との比較
軽減措置ありの場合・・・土地:0円 建物:21万円 計21万円
軽減措置なしの場合・・・土地225,000円 建物:60万円(※) 計825,000円
※2,000万円×3%
∴615,000円の減税
まとめ
そもそもの課税前提がお家などの建物や土地を取得された場合ですので、所得税や住民税、自動車税あたりと比べるとずっとなじみの低い税金ですが、中身はこのような仕組みになっています。
納税通知書が送られてくるのが購入後半年から長いと1年以上先になることもありますので、忘れていたころにガックリ…となる方が非常に多くその点あまり評判はよろしくありませんが(笑)、軽減措置を正しく利用できれば税負担はぐっと減りますので、お手続き及び適用の有無の確認だけは忘れないよう気をつけてください。
***編集後記***
台風15号の影響で千葉県内ではいまだに電力が回復していない地域が広くあります。
『震災よりひどい』という現地の声も聴こえてきます。
行政と民間タッグを組み、1日も早い『日常』の回復を祈っています。