そもそもシリーズ、今回は青色申告についてみていきたいと思います。
フリーランスやノマドさん、副業をされている方の増加に伴い、確定申告をしなければならなくなったという方も増えてきていると思います。
確定申告には申告の種類が2つあります。
青色申告と白色申告です。
ちなみになぜ『青色』申告なのかというと(興味のない方は飛ばしていただいてかまいません)、戦後のGHQ主導での税制改革の際、正しい申告と納税を行う者を優遇する制度を設けようじゃないかという話になりました。
GHQの要請で日本へ派遣されたカール・シャウプ(租税法学者でありコロンビア大学教授でした)は、納税者を明確に区分するため、その優遇対象者に、日本人が好きな『青』の用紙をもって申告させるようにしました。
これが『青色』申告と呼ばれる起源とされています。
以下青色申告のメリット・デメリットについてそれぞれ見ていきますが、結論から言うと青色申告のほうがずっと節税上のメリットが大きく、手間の面でも青と白とでは以前ほどそう大きくは変わらなくなってきています。
関心はあるけど手続きも含めてよくわからないよ、という方、ひとつずつ見ていきましょう。
青色申告とは
不動産所得(※)、事業所得、山林所得を有する事業者が、日々の取引の記録から複式簿記で帳簿を作成し、その帳簿をもとに正しい書類を作成し申告をする制度のことをいいます。
白色申告に比べ税務上さまざまなメリットがあり節税効果の高い申告制度となりますが、税務署への申請や原則複式簿記での記帳が必須となっています。
※不動産所得の場合、一定の事業規模要件があります
白色申告との違い
青色申告の主なメリット・デメリットはそれぞれ以下の通りとなります。
青色申告の主なメリット
1.最大65万円の所得控除
青色申告の一番わかりやすいメリットはなんといっても最大65万円の特別控除です。収入からそのまま同額を控除できるので節税効果は抜群です。
ただし65万円満額を控除するには、複式簿記での記帳&電子申告(または電子帳簿の保存)が必要となります。
簡易簿記を元にした申告となった場合、控除額は10万円となります。
また平成30年度の税制改正により、2020年の確定申告より、電子申告(e-tax)または電子帳簿の保存がなかった場合、控除額は55万円となってしまいますのでご注意ください。
2.赤字の3年間繰り越しが可能
事業がふるわず赤字となってしまった場合、その赤字を翌年以降3年間繰り越すことができます。
例えば、
X1年:200万円の赤字
X2年:150万円の黒字
X3年:100万円の黒字
のケースの場合、X2年はX1年の赤字があるため所得は0となります。X3年はX1年の200万円の赤字のうち残りの50万円を充当することができますので、所得は100万円-50万円=50万円となります。
年によって黒字と赤字を繰り返しているような方にとってはかなりの税負担の軽減が見込めるでしょう。
3.30万円未満の減価償却資産の一括経費化が可能
パソコンなどの備品を購入した場合、一括で経費にすることができるのは原則10万円未満のものに限られます。
しかし青色申告の場合、その枠が30万円へと拡大されます。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
4.家族への給与が経費になる
生計を一にする家族(配偶者もしくは15歳以上の親族)で、その事業に専ら従事している方に対するお給料(事業専従者給与といいます)を全額必要経費とすることができます。
一方白色申告の場合、事業専従者給与の経費計上は認められておらず、事業専従者控除として配偶者は最高86万円、その他親族は最高50万円の定額控除を受けることになります。
なお、この特典を受けるためには『青色事業専従者給与に関する届出書』を税務署に提出する必要がありますのでお忘れのないようご注意ください。
その他、推計課税(※)されない、家事関連費の一部の経費計上が可能となるなど、青色申告のメリットはとても大きなものとなっています。
※同業他社との比較などによって、税務署が帳簿に基づかず課税を行うこと。 青色申告者に行うことはできません。
青色申告のデメリット
1.事前の申請承認が必要
青色申告を行う場合、その年の3/15までに『青色申告承認申請書』を所轄の税務署へ提出しなければなりません。
ただし事業を始めた年にあたっては、その事業を開始した日から2か月以内の提出となります。
仮に提出を忘れてしまった場合、その年は白色で申告を行い、その確定申告書の提出とあわせて翌年以降に備え『青色申告承認申請書』を提出しておくのがよいでしょう。
2.複式簿記での記帳
青色申告で65万円の控除を受けるには、複式簿記で帳簿を作成する必要があります。 当然あわせて貸借対照表も付す必要があるため、一定の簿記知識と会計ソフトの導入は必須となってくるかもしれません。
ちなみに簡易簿記での帳簿作成となった場合、控除額は白色と同じ10万円となります。
手続き
上記した通り、青色申告を行う場合、その年の3/15までに『青色申告承認申請書』を所轄の税務署へ提出しなければなりません。新たに事業を始められる方は、青色での申告を考えている場合、開業届とあわせて提出しておくのがよいでしょう。
配偶者などにお給料を出したい場合には『青色事業専従者給与に関する届出書』の提出もお忘れなく。
まとめ
青色申告は白色と比べ税務上多くのメリットがあるということがおわかりいただけたかと思います。
かつては青色申告というと手間や時間がかかり非常に煩雑なイメージがありましたが、平成26年の法改正により白色申告者においても帳簿の作成・提出が義務化されたため、手間という面で青色と白色の違いはほとんどなくなったといってもよいレベルになっています。
会計ソフトの技術の精度も年々向上してきており、高度な会計知識がなくとも最低限の帳簿作成はできるようになってきています。
これから事業を始められる方やこれまで白色で申告をされてきた方は、これを機に青色申告の申請書の提出を検討されてみてはいかがでしょうか。
***編集後記***
前売り券まで買って公開前から楽しみにしていたトイストーリー4ですが、昨日やっと観ることができました。
ボーのような女性は魅力的ですね。
それにしてもあの羊たちに名前があったなんて…。