10万円以上の固定資産を購入した場合、原則としてその資産は資産計上し、減価償却によって耐用年数にわたり費用化しなければなりません。
ちょっといいパソコンやちょっといいスマホを買うとあっという間に10万円を超えてしまいますが、できることならこのあたりのお買い物はなるべく早めに経費にしてしまいたいところです。
取得価額が10万円以上である場合、金額ごとにそれぞれ次のような取扱いが考えられ、要件さえ満たせばすばやく費用計上することができます。
ひとつずつみていきましょう。
一括償却資産とは?
◇20万円未満のものが対象
◇法定耐用年数によらず3年間で均等償却できる
◇すべての事業者が適用可能
◇償却資産税(固定資産税)がかからない
例えば通常の事務用デスク(金属製)ですと法定耐用年数は15年ですので、通常ですと資産計上を経由し15年にわたり費用化していきますが、一括償却資産として取り扱うと3年で費用化が可能です。
この場合当期の減価償却費は
(取得価額18万円、当期残り8か月である場合)
18万円×8か月/36か月=4万円
となります。
また、一括償却資産は固定資産税の対象外になるというメリットもあります。
ひとつ注意点としましては、もし途中で除却や売却をした場合でも即時費用とはならず、継続して3年償却を行う必要があります。
少額減価償却資産とは?
◇30万円未満のものが対象
◇購入時すぐに費用化できる
◇中小事業者等または青色申告者のみ適用可能
◇年間合計300万円が上限
中小企業者等(資本金1憶円以下などの法人)または個人の青色申告者が、30万円未満の固定資産を購入した場合、その全額をその期の費用とすることができます。
仮に1台25万円のテレビを購入した場合、テレビの法定耐用年数は5年ですから、普通償却を行うとその25万円すべてを経費にするまで通常5年を要します(個人事業者の場合毎年5万円ずつ)。
一方少額資産として取り扱う場合当期の償却額としてその25万円全額が一括して計上されることになるため、素早い費用化が可能です。
留意点としましては、年額合計300万円が上限である点、固定資産税については通常通り対象となってくる点、となります。
少額資産・一括資産のまとめ
上記の金額の判定はその事業者の経理方法によるところとなります。
税込経理であれば税込みで、税抜経理であれば税抜きで判定を行うため、例えば税込み300,500円など金額がギリギリであった場合、税抜経理のほうがちょっぴり有利になります。
またその判定は1セット単位で行います。
例えば応接セットとしてテーブルとチェア数脚をあわせて購入した場合、それらは一体のなって価値を生み出すものとされますので、すべて合わせた金額で判定を行います。
カーテンなども、部屋ごとに判定を行います。
例えば合計が40万円であったとしても、20万円×2部屋分であった場合、判定上30万円未満であるとして少額減価償却資産として取り扱うことが可能です。
中小企業者等または青色申告者である場合、一括償却資産より少額減価償却資産の適用が優先されるケースが多いかと思います(300万円枠が残っている場合)。償却費(利益)の調整もしくは固定資産税の負担を考慮に入れる場合のみ、一括償却資産の適用が検討されます。
一括償却資産と少額減価償却資産、いずれにせよ通常通り償却を行うよりずっとすみやかな費用化が可能ですので、30万円未満のものを購入した場合には積極的に検討していきたいところとなります。
それでは、おつかれさまでした。
細川