細川会計事務所@千葉 の中の人のブログ

令和元年11月、千葉市内で独立開業した30代ひとり税理士のブログです。

細川会計事務所の中の人のブログ

適材適所を考える ~たとえ期待と違っても~

『採用したは良いけれど、期待通りに動いてくれなくて…』

 

この仕事をしていると、経営者の口から聴こえてくるセリフベスト20ぐらいには入ってくるであろうこちらのお言葉。

 

 

社会人としての汎用的なスキル不足。

 

その業種や職種に必要な専門的スキルの不足。

 

コミュニケーション能力の不足。

 

そもそものやる気不足。

 

 

不満の理由はおおよそ上記のどれかに該当するかと思いますが、そんな時、不満の源泉が事業主としての『期待』にあることを認識した上で、ひとつ考えてみて欲しいのが、

 

『適材適所であるか』

 

 

 

以下、某社(機械設備の製造販売)の実例です。

 

営業職としてAさんを採用しました。

 

前職の営業としての経験と真面目そうな人柄が採用の主な理由です。

 

しかし数カ月後、社長のAさんに対する評価は『営業として若干押しが弱く、プレゼン力や売り出す力も欠けている』。

 

本人はとても素直で真面目で、前職も営業職であったため期待をしていたのだけれど、ちょっと事前の期待とは違うなあ…と残念そうな口ぶりで話しておられました(本人は真面目で人柄も良く、社長も彼のことを嫌いではありません)。

 

本人によくよく話を聞いてみると(面接の際にも話していたそうですが)、前職は完全なルート営業で、どちらかというとセールスというよりかは提供済みのサービスやシステムの運用支援に近いお仕事だったらしいのです。

 

確かに彼は非常に真面目で穏やかで優しそうな人柄をしており、モノやサービスを積極的に売る、というよりかは、誰かをサポートしたり、そのマメな性格を活かし事務仕事なんかもこなしそうな印象を受けました。

 

そこで社長に『Aさん、他のところで使えないですか?』と提案をしてみたところ、『うーん、でも営業として採ったからさあ…』と空返事。

 

しかし、当時そちらの会社は経理や総務、営業アシスタントなどの職種を絶賛募集中だったので、『事前の期待や予定とは少しだけ違ったかもしれませんが、彼の適材適所を考えてあげることは、会社にとってもプラスになりませんか』とお話ししたところ、話せば通るとても融通の利く社長は、本人の希望も聞いた上で、Aさんの管理部門への配置転換をお決めになられました。

 

そしてその後、少なくとも僕の担当している間、社長の口から一度もAさんに対する不満を耳にすることはありませんでした。

 

これは数年前の話ですが、Aさんは今現在もそちらの会社で活躍されているとのことです。

 

 

 

たとえ事前の期待や予定とは違ったとしても、感情的にならず、会社の全体利益を冷静に見極め『適材適所』をはかることで、会社の利益、及び当人の人生にとっても大きくプラスとなったであろう非常に良い事例でした。

 

もちろん全部が全部こう上手くいくとは限りません。

 

本人のやる気がなければいくら丁寧に水をまいても芽は出ませんし、配置転換を考える余裕のない中小企業だって現実的には多いはずです。

 

しかし、当初の『期待』の結果を○×の二択のみで判断してしまうのは少しもったいない気がしてしまいます。

 

たとえ期待違いであったとしても当人をよ~く観察し、適性を見極め、会社として事業主としてできることは何かないか、というフレキシブルな自問をしてみることで、もしかすると何かよい方法が見つかるかもしれません。

 

今回のお話は、社長の『せっかくの縁だからさ…なんとかしたいよね』という想いと、『理想』のベクトルの向く方向を後からうまく修正することのできる柔軟性が、非常にうまい具合に実ったという一例でした。

 

f:id:tax-hosokawa:20200804141058p:plain

 

 

***編集後記***

またいつ市中のお店が閉まってもいいよう今のうち生活に必要なものは買っておこうと考えています。

さて、何を買おうかと考え、一番最初に思い浮かんだのが

『実家のねこのご飯は大丈夫かな…』

『いや、あの子は最近少し太り過ぎだから少しご飯が足りないぐらいのほうが…』

はい、親バカです。