会社にお金がないときの主な要因として、一般的には以下のケースなどが考えられます。
1.赤字経営
2.債権の回収が滞っている
3.在庫が過剰となっている
4.投資の失敗
5.借り入れ依存体質
それぞれの場合の対策も含めて見ていきましょう。
1.赤字経営の場合
そもそも経営そのものがうまくいっていない状態です。当然のことながらこの場合有効なのは売上を増やすことと経費を減らすことです。これらは長期的視点から並行して行われるべきですが、まず今日この瞬間からできるのは『経費の見直し』でしょう。
中でもまず先んじてチェックをかけたいのは『交際費』『保険料』『地代家賃』あたりです。
本当に営業活動に必要な交際活動か、保険保障が過剰になっていないか、事業規模からみて家賃は適正か、ひとつひとつ丁寧に見直しをかけてみる必要があるかもしれません。
なお、人件費カットは本当に他に手段がない場合の最後の打ち手、苦肉の策となります。ここで従業員の士気・モチベーションを著しく下げてしまうと、その先の組織の立て直しはひどく困難なものとなるでしょう。従業員のボランティア精神に会社の命運を託すことは残念ながら悪手でしかありません。
2.債権の回収が滞っている場合
貸し倒れの場合も含みますが、それだけではありません。
実際にあった例ですが、仕入れ代金は即金で支払わなければならない一方、売上げ代金の回収サイトは3か月~半年…。
このような取引が継続的に行われている場合、売上げとして回収するまでの間に行った投下資本分は常にキャッシュアウト状態ということになりますので、当然仕入れを行うたびに会社のお金はどんどこ減っていきます。
こちら側でできることとしては、売上げの回収サイトの短縮を得意先に打診をすること、もしくは仕入れ代金を掛けにして支払サイトを伸ばしてもらえるよう仕入先に打診をすること。
どちらも先方の返答が芳しくない場合、取引自体の見直しをかけることも状況次第では検討しなければならないでしょう。
3.在庫が過剰となっている場合
商品や材料を購入しっぱなしな状態です。
投下した資金を売上として回収できていませんので、当然お金は減っていきます。
対策としては、売り上げて抱えている在庫を吐き出せればそれに越したことはありませんが、一番はきちんとした在庫管理・計画販売・計画生産を行うことです。
需要のない不要な商品を過剰に仕入れたりしていませんか?
なお、過度に値を下げた決算在庫セールは単なるいわゆる期ズレでしかありませんので、特だった事情等がなければあまりおすすめできません(すみやかに1円でもキャッシュを確保したいときなどは別です)。どうにも正規の価格で売れないものや消費期限の迫っているもののみにしておきましょう。
4.投資の失敗の場合
例えば回収見込みのない大型設備の導入や不人気の不動産物件の購入あたりのことをいいます。
これらへの投資の場合一般に金額が莫大なものになりますので、その設備が今のこの会社にとって本当に必要か、その物件はきちんと社会的に需要のあるものか、よく検討される必要があるでしょう。
もし投資した当初に思い描いていた状況と大きくかけ離れリカバリーが難しくなってしまっている場合、早期の『撤退』というのも経営判断として視野に入れておかなければなりません。
5.借り入れ依存体質である場合
せっかく営業活動で獲得したキャッシュがすべて借入金の返済として社外へ出て行ってしまっている状態です。当然利息も馬鹿になりません。
借り入れ依存に陥るという状況自体が資金繰り悪化の結果でもありますので、ここまでくると一朝一夕でどうにかなるものでもありません。
負の連鎖を断ち切るため長期的視点で経営そのものを見直し、必要であれば専門家の知恵を借りることも検討しなければなりません。
まとめ
経営状況の把握は『利益いくらかな』だけでは片手落ちです。
今会社にいったいいくらお金があるのか、その調達源泉は借入れに依存していないか、お金の増減の主な原因はなにか、経営者は大事な会社と従業員を守るためにそこまで知る必要があります。
上記したどれもが、短期的な改善が難しいものばかりです。
長期的視野をもって、時には辛抱も必要かと思いますが、まずは現状の把握と将来の実現可能な計画策定に努めることをおすすめします。
***編集後記***
ヤクルト村上選手、昨日のDeNA戦で今季31号。これは清原選手と並び、10代でのホームラン記録タイになります。
HRランキングもリーグトップのソト選手(DeNA)、坂本選手(巨人)まで1本差。10代でのホームラン王となると史上初の快挙です。
打点も現在首位ですので、2冠王ともなればこれはとんでもないことですね…。