細川会計事務所の中の人のブログ

令和元年11月、千葉市内で独立開業した30代税理士のブログです。

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仕事用のお財布とプライベート用のお財布とを分けないと一体どうなるか

事業用のお金と家計のお金とをはっきりと分けられていないケースは、個人で事業をされている方や家族経営の中小企業に比較的多く見られます。

 

開業当初は当然事業主の多くは財布を分ける必要性を理解していませんし、なによりそのほうがずっと楽ですのでそのまま始めてしまい現在に至る、という流れがほとんどかと思います。

 

経営関連の書籍を見るときまって『仕事用のお金は分けましょう』と書いてありますし、会計事務所も同様のことを言います。

いったいなぜでしょうか。

公私のお金をごちゃまぜにしてしまった結果、症状としてよく見られる2つのケースについてお話ししたいと思います。

 

帳簿のゴースト化

実体のない現金や個人借入金などが帳簿上に存在してしまいます。

現金のゴースト化

仕事のお金と個人のお金とを分けていない場合、帳簿上の現金残高は実体のないものになります。仕事用の財布や金庫そのものが存在しないわけですから当然ですよね。

するとどうなるか。

 

税込み86,400円でパソコンを1台購入したとしましょう。

仕訳は(消耗品費)(現金)できります。

この場合、購入時に一度個人の財布からお金を出し、後日会社から同額を精算という流れになるかと思いますが、毎回の精算が漏れなく正しく行われるとは限りません。というより、経費はほぼ毎日何かしらの形で発生していますので、年間を通してぴったりと正確な精算を行うというのは実務上かなり困難です。

 

よくありがちな話ですが、『だいたいでいいよ』と9万円で精算を行ったとします。実際のお金は9万円会社から出て行きますが、帳簿上経費として計上できるのは当然ながらPCのお代86,400円だけです。すると差額の3,600円はどこへ行ってしまうのでしょうか。この瞬間、『帳簿上会社にあるはずなのに実際にはないお金』が同額だけ発生しています。

この一件だけですとたった3,600円ですが、これが1年さらには10年20年と積み重なっていくとどうなるか。レジや金庫内をあわせて20-30万円ほどしかないような個人商店の帳簿上の現金残高が500万円を超えてしまったりします。繰り返しますが、このお金実際にはないはずのものですので、正確な企業体力や財務状態の把握は事実上不可能になります。

さらに残念なのは、この差額480万円の行き先は、つまるところ経営者個人のお財布です。税務署に見つかれば給与課税を指摘される危険性も少なくないでしょう。

 

逆に清算を忘れてしまった場合はどうでしょう。

実際のお金は会社から出て行っていないのにもかかわらず、帳簿上は現金の流出で処理しているため、積み重なると今度は帳簿上の資金繰り難が発生します。経営は好調なのにもかかわらず会社内にお金がないため(実際はあるにもかかわらず)、そのつじつまを合わせるため経営者からの個人借入金を引っぱり出してくるのがよくある『ごまかし方』です。古いタイプの会計事務所がよく使う手法です。

 

個人借入金のゴースト化

その結果、個人借入金もどんどん膨らんでいきます。

経営者側からすると『貸したお金』になりますから当然返済を望みますが、会社の帳簿上お金がないからこうなっているわけですから、当然ないものを返すことなんてできません。本来は精算不足が原因なので返してもらえるはずのお金なのに、です。

 

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コスト管理が片手落ちになる

こちらは帳簿がゴースト化した結果のお話です。

コスト管理は本来損益面と資金面、両建てで行われるべきです。

『利益いくらかな経費いくらかな』と『資金繰り大丈夫かな』は常に並行して監視してこそ正確なコスト管理になります。

しかしここで現金がゴースト化していると、資金面でのコスト管理はまったく意味をなしません。なにしろその帳簿上の数字は、実体のない虚像(ゴースト)なのですから。

 

まとめ

上記したものはすべて実話、経験談です。それも、珍しくもなんともない比較的よくあるお話です。

 

これらに関しては、指導責任を果たせていないという点で、残念ながら会計事務所もまったく無関係ではないでしょう。長期的視点を欠き、『なんとかなるのでなんとかしてしまう』というのはオールドタイプの年配税理士にありがちな手法です。

 

さらに所長や先輩税理士がこういったやり方をしていると、そこで働く若いスタッフも同様に『楽で便利な』やり方を覚えてしまい、その結果悪意なく顧問先に迷惑をかけてしまいます。

 

私も3つの会計事務所を渡り歩いてきましたが、環境を変えるということを選択できていなければ、もしかするとこのオールドタイプな税理士に属していたかもしれないと考えると若干怖くもあります。

 お客さま側も働く側も、会計事務所の選択は非常に重要だというひとつのいい例かもしれません。

 

 

***編集後記***

深夜2時にGの気配を枕元に感じ目が覚めました。

ゴキ〇ェ〇トをフル噴射したらやりすぎてしまいとても部屋にいられなくなり明け方まで別部屋で横になっていたのですが、まったく寝付けませんでした(笑)