税理士試験は現在全部で11科目あり、各科目の合格率はおおよそ10%程となっています。
その中から、
簿記論、財務諸表論・・・それぞれ必須
法人税法、所得税法・・・うち1科目必須
その他の科目から2科目(実務を考えると消費税法も必須に近いことから、実質残り1科目)
計5科目の合格をもって晴れて官報合格となります。
科目ごとの難易度はバラツキがありますが、例えば一番簡単な簿記論でも日商簿記1級より断然難しく(私の主観)、法人税法にいたっては1科目合格するまで5年10年と必要とされる方もかなり多くいらっしゃいます。
官報合格まで平均でおおよそ9~10年。中には30年40年…という方もいらっしゃるといいます。他の国家試験と比べても、合格までの年数のみで言えば司法試験と双璧となっています。
公認会計士試験がスプリント競走であるとするなら税理士試験はマラソンと言ってもよいでしょう。
多くの人は働きながらの取得となりますので、9~10年の間、体調やメンタルの管理を絶えず行わなくてはなりません。
加えて9~10年も生きているとその中で結婚・出産・転職・病気・身内のご不幸等の大きなライフイベントを経、ライフステージが移行される方も多いでしょうから、そちらのストレス(精神的なもの、経済的なもの、多種多様かと思います)とも同時並行的に戦い、かつ勝たなくてはなりません。
『学力』の一本槍だけで突破しようとすると、間違いなく跳ね返されるでしょう。
乗り越えるべき課題はそれこそ人それぞれで、かつ複合的なものだとは思うのですが、私の場合、特に気を配った点は以下のものでした。
時間の管理
私の場合、仕事でクタクタになって帰ってきたあと集中して勉強する気にはとてもならなかったので、勉強時間を朝に持ってきました。
具体的には、夜帰宅し、食事をとり、お風呂に入り、22時過ぎには就寝。
翌朝2時過ぎには起床しすぐに机へ向かいました。
6時45分の出勤まで、間に食事や着替え等の時間があるにせよ4時間は確保できますので、毎朝欠かさずその時間で集中して課題をこなしていきました。
朝はテレビや友達との連絡等の誘惑がとても少なく、体力的にもリフレッシュした状態で勉強へ臨むことができます。もし今が夜型で試験勉強がうまくいっていないという方は、一度生活スタイルを見直してみるのもよいかもしれません。
ただし無理はなさらないで下さい。
体力の管理
睡眠時間の不足に起因する体調不良については寝て回復させるしかないので、週に1日、土日のどちらかを朝好きなだけ寝ててよい日として設定していました。
基礎体力に関しては私自身走ることが好きで問題はありませんでしたが、もし日常の中にまったく運動の習慣がないという方は、ポケモンGOやドラクエウォークを使ったウォーキングからでもかまいませんので(笑)身体を動かす時間というのを日常の中に組み入れてみることをおすすめします。
週に2~3時間の勉強時間を削ってでも運動はしたほうがいいと思います。体力だけでなく、メンタル面でも大きく向上する実感がわいてくるはずです。
ただしこちらも、例えば子育てがあったり、ご病気を患っていたりと様々な方がいらっしゃるかと思います。どうかマイペースで。
心の管理
税理士試験というマラソンを乗り切るために一番大事な要素が、『心』の管理です。
こちらに関してはひとつ、私の中で鉄の掟をつくりました。
『やりたくないことはやらない。やりたくないときはやらない』
例えば1年や2年で突破できる試験でしたら根性と忍耐で勝負していたかもしれませんが、合格まで何年かかるかわからない税理士試験を根性と忍耐のみで乗り切ろうとするのは(可か不可かは置いておいて)明らかな悪手であると考えています。
勉強が嫌にならないよう、勉強が私にとって敵にならないよう、ひたすら気を配りました。
例えば今日は理論を暗記する気分じゃないなと感じたら、その日は計算に集中します。
例えば今日は問題解きたくないなと感じたら、テキストを読み復習を徹底して行います。
根性論が入る隙を極力許さず、自分の意志で(好きかどうかは置いておいて)やっている勉強を嫌いにならないよう気を配ることが、実は合格への最短の道であると信じ私は毎朝電卓を叩いていました。
そして、そのことに早くに気づけたからこそ、自分はいまこうしてブログを書いているのだと思います。
忍耐や根性はここぞという大事なとき(例えば試験本番)に抜く懐刀として大事にとっておきましょう。
最後に
この記事は現在税理士試験を受験されている会計事務所勤務の方等を想定して書いたものです。
私のやり方が最適解だとはまったく思っていません。何かひとつでも参考にできる要素がみつかれば嬉しいです。応援しています。
税理士試験の制度自体に思うこともありますが、今回は省きます。
時勢の変化の中、今後も『報われる試験』であり続けるためにはどうあるべきか。考えてしまいますね。
ただ、この仕事、きっとそれほど悪くないですよ、と最後に付記して終わりとします。
***編集後記***
ひとつ新しい趣味が欲しいです。
楽器か運動が相場でしょうか。
天体観測なんかもいいですよね。