「黒字倒産」という言葉があります。
一般に倒産するような会社は赤字続きのようなイメージがあるかもしれませんが、黒字でも会社はつぶれます。
利益が出ているのに倒産…?
イメージがわかない方もいるかもしれませんが、単純に、借りたお金を返すお金がなければ事業の継続は困難になります。
この状態を「債務不履行」といいます。
一度債務不履行に陥ると、その後の金融機関からの融資は期待しづらくなります。
赤字続きでも金融機関からの融資で事業が継続していた会社にとって、この状態は相当にまずい。
灯り続けていた黄色信号が赤信号に変わる瞬間です。
安全性分析の指標 自己資本比率とは?
ではいったいどういった状態を「安全」というのでしょうか。
会社財務の安全性を示す指標のうちのひとつに「自己資本比率」というものがあります。
自己資本比率(%)=(総資本ー他人資本)/総資本×100
でもとめられるものですが、わかりやすくいうと、会社が保有するすべての資本(資産)のうち、返済義務のない自己資本から調達したものの割合を指します。
自己資本比率が低いということは、他人資本、つまりいつか誰かに返さなくてはならない借金等が膨らんでしまっている状態であることを示します。
自己資本比率が高ければもうけを社内にストックしておくことができますが、比率があまりに低い場合稼いでも稼いでもお金は借金の返済のため社外へと出ていってしまうのです。
中小企業はまずは目指そう40%
中小企業庁の発表する平成29年中小企業実態基本調査では、中小企業の自己資本比率の平均は40.08%。
個人的には、あれ、こんなに高いんだという印象です。
業種にもよりますが、一般的には40%以上あれば安全ですよ、優良ですよとされるようなものですので、まずは平均の40%を目指してみるのがよいかと思います。
自己資本比率40% ⇒安全性高い!
ちなみに自己資本比率がマイナス、つまり他人資本の金額が会社の保有する資産のすべての金額を上回る状態を「債務超過」といい、このような状態に陥ると仮に会社資産のすべてを売却しても借金を返済できないこととなるため、倒産のリスクは極めて高くなります。
自己資本比率マイナス… ⇒非常に危険な状態
まとめ
自己資本比率は高ければ高いほど安全性が高く倒産しづらい会社であるということを示します。
ただしそうはいっても、中小企業にとって大規模な設備投資や事業拡大の際の資金注入は必須です。
元手がないままコツコツと利益を積み重ねていっても膨大な時間を要するような場面でも、借入れが時計の針を進めてくれることがあります。
事業の収益性が借入の利息よりもずっと大きい場合、借入れがテコとなり企業そのものをワンランク上へ押し上げてくれる、そんな場面も往々にしてあります。
しかしそれでも永続的な事業継続を考える場合、あまりに借入れに依存した財務体質が常態化するのはやはり好ましくありません。
大事な会社を倒産リスクから遠ざけるには、少しでも自己資本の割合を引き上げ、資金のフローを健全化することが非常に重要なこととなってきます。
もちろん一朝一夕でできることではありませんが、中長期的な事業計画の目標のうちのひとつとしての「自己資本比率の向上」、あってもよいと思います。
***編集後記***
さきほど走りに行ってきたのですが、あやうく干からびるところでした(汗)
走り終わった後のシャワーとアイスは格別です。