きちんと月次決算ができている会社ですと、事業年度開始から9~10か月ほど経過するとうっすらと当期の最終着地点(利益額)が見えてきます。
そこで当初予定していた数字よりも黒字幅が大きかった場合、さて節税どうしましょうという話になるのですが、検討案としてよく挙がるのが30万円未満の少額資産購入や生命保険の加入あたりかと思います。
会計事務所から保険いかがですか?とすすめられた経験のある事業者さまも多いのではないでしょうか。
いくら節税のために計上経費が必要だといっても保障内容が不必要または過剰であるものや出口戦略のない保険加入はただの浪費になります。
かといってパソコンもまだ比較的新しくその他什器備品も十分ですとなると、そもそも1件あたり30万円未満の「必要な」モノなんてそんなにいくつもいくつも出てこないのが普通だと思います。
そんなとき、もし必要であればご一考してみては?というのが中古車の購入です。
中古資産の耐用年数
次のいずれかとなります。
A.残存耐用年数の見積もりが可能なもの・・・その見積もった使用可能年数
B.残存耐用年数の見積もりが困難なもの・・・次の年数(最低2年)
a.(新品で購入した場合の)耐用年数の全部を経過した資産 法定耐用年数×20%
b.耐用年数の一部を経過した資産 (法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)
C.改良費等(省略)
実際は耐用年数を正確に見積もることは困難または手間なケースが多く、実務上Bの年数をとることがほとんどです。
例えば中古のレンガ造りの煙突を買ったとします(笑)
法定耐用年数25年ですから、10年落ちの煙突ですと
(25-10)+10×20%=17年になるといった具合です。
全額経費計上も可能!?消費税もお安く
上記をふまえ車の話にうつりますが、普通乗用車の法定耐用年数は6年です。
ここで仮に4年落ちの中古車を購入すると耐用年数は…
(6-4)+4×20%=2.8→2年(1年未満切捨て)となります。
法人の場合車両は原則定率法で償却しましょうとなっている(個人事業者の場合定率法で償却する旨を届け出る必要があります)ので、「定率法 2年」の償却率をみてみると…
1.000
期首に購入した場合、なんと当該年度に全額償却できちゃいます。
なので、仮に9か月経過の時点で(かなりバタバタになってしまいますが…)4年落ちの車を350万円で購入した場合、
350万円×1.000×3か月=875,000円
の減価償却費が計上可能となります。
加えて消費税も8%相当額仕入税額控除が可能(全額控除の場合)ですので、法人税等と合わせるとかなりインパクトのある減税額となるのではないでしょうか。
まとめ・留意点
冒頭の保険の件と重なるのですが、この車だって、不必要なら買う必要はありません。
税金を払いたくないがあまり不必要なもの、特に欲しくもないものを期末に買いあさる事業者さまもたまにいらっしゃるのですが、当然ながらどんどこキャッシュが社外へ流れ出ていきます。
会社にお金をためる一番有効な手段は利益を出し税金を払うことです。
残念ながら課税フィルタを経由したお金しか会社にたまらないような仕組みになっています。
ですが、仮に会社の業績が思いのほか好調で節税を考えたいとなった場合で、社長の車や営業車が古くなっており買い替えを検討していた、加えて中古車に心理的な抵抗がないといった場合に、この4年落ち中古車の購入はかなり効果的です。
車の購入は中小事業者にとってかなり大きな買い物となりますので、慎重に資金繰り等を見直したうえで、もし必要であれば一度検討してみるのもいいかもしれません。
やっぱり車は新車がいいよ!という方は、スルーしてください(笑)
ちなみに3年落ちですと耐用年数は3年、償却率0.833となりますのでこれでもなかなか強いです。
それでは、おつかれさまでした。
細川